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小型原子炉(SMR)関連銘柄と注目が集まる背景を考察する

世界的な脱炭素の流れを受けて、日本でも大きく変化が起きようとしています。

最速の梅雨明け宣言となった2022年は6月にも関わらず、「節電の呼びかけ」が全国的に行われるなど、日本の電力不足は深刻な事態となっています。

最近は電気代高騰をはじめとしたエネルギー価格が軒並み高騰しており、原子力発電所に対する風向きが変わりつつあります。

原子力発電に関しては、これまで厳しい目が向けられてきましたが、脱炭素のトレンドやエネルギー価格の高騰で世界的に再評価されています。

そんな中で小型原子炉(SMR)が世界的に注目を集めています。

そこで本記事は小型原子炉ビジネスを手掛ける日本企業をいくつか紹介します。

【はじめに】小型原子炉とは?

パッケージ製造された原子炉である


小型原子炉は従来の原子炉と比べて出力が小さく、パッケージ化された製造方法で生み出された原子炉のことを指します。

一般的には小型原子炉と呼ばれますが、別名で小型モジュール原子炉、SMR(Small Modular Reactor)と言われることもあります。

大幅なコスト圧縮を実現

小型原子炉の特徴は大きく分けて3つあります。

①大規模なインフラ設備がいらない

②従来型と比べて発電量は1/3程度

③小型だから冷却が早い

福島第一原発をはじめとする従来型(旧型)の原子炉は『完全オーダー品』として製造されていました。

一方、小型原子炉は基本設計に基づいた製造を行い、現地で組み立てする工法を採用しています。

そのため、従来の原子炉では成しえなかった「大幅なコスト圧縮」が可能です。

また副産物として、建設現場の周辺地域に大規模なインフラ設備をする必要がなくなったので、環境負荷の低減にも貢献できているといえます。

【なぜ】小型原子炉が注目されているのか

理由①:脱炭素が”グローバルトレンド”

小型原子炉が注目を集めている理由は、世界的に脱炭素化・カーボンニュートラルが大きなトレンド(流行)であることが挙げられます。

日本を除く先進国(アメリカ、イギリス、カナダなど)では、脱炭素社会を実現するために『次世代エネルギー』の開発が積極的に行われています。

今回のテーマ”小型原子炉”においても政府主導で開発支援や建設が進められており、日本は相反した動きを見せています。

理由②:安全性が優れている

原子力発電は原子炉の中でウランが核分裂するときに出る熱を活用し、蒸気の力でタービンを回して発電を行います。

これらは発熱の蒸気を生かした発電であるため、もしもの時は冷却する必要があります。

一方で、小型原子炉は炉心全体が水に沈めて運転できるため、自然冷却が可能です。

例えば、福島第一原発は旧型の原子炉を採用しており、毎度ポンプで水を汲み上げて冷却するシステムとなっています。

これでは大規模災害が発生した際に電力供給が途絶えて冷却できません。

そういったことから、小型原子炉(SMR)は『安全性が高い』原子力技術と言えるでしょう。

理由③:経済的メリットが大きい

先ほど少し触れましたが、小型原子炉は基本設計(モジュール工法)を採用しています。

これにより、原子炉を現地で組み立てることができるので、納期の短縮や大幅なコスト圧縮を実現することが出来ます。

また、周辺地域に過度なインフラ設備投資を行う必要がなくなるので、環境負荷を削減できる点は、世界的に導入が進んでいる理由の1つと考えています。

小型原子炉の関連企業はどこか?

【前置き】日本で小型原子炉の実装予定はない


現在の日本で小型原子炉は実装されていません。そのため、今回紹介する企業の多くは出資する形で関連銘柄入りしています。

最近は脱炭素・カーボンニュートラルの流れから、小型原子炉の開発競争はグローバルで加速し、日本でも投資が活発化しています。

もし、出資先の企業が大きく成果を上げた場合、投資先として日本企業はリターンを得ることになりますので、この機会に関連銘柄を把握しておきましょう。

小型原子炉(SMR)関連銘柄はこちら

証券コード企業(銘柄名)特徴
1963日揮ホールディングスニュースケール社へ出資。中長期経営方針(2040年)で小型原子炉がコア事業へ成長予定。
5631日本製鋼所原子炉圧縮の容器開発を手掛ける。
6501日立製作所日本企業初の小型原子炉を受注。28年に完成予定。
6502東芝子会社が小型原子炉を開発中
6378木村化工機核燃料輸送容器・濃縮関連機器を手掛ける
7011三菱重工業一体型小型原子炉を設計し、原子炉の応用に積極的。
7013IHIニュースケール社へ出資。原発案件の実績豊富。
7711助川電気工業小型原子炉に関する試験受託や機器開発を手掛ける。



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日本で小型原子炉は採用されるのか?

ここまで小型原子炉の良い点など説明してきましたが、筆者の結論として、日本国内で小型原子炉の新設は行われないと予想します。

その理由は日本が『災害大国』である点が大きな理由であると考えています。

周知の事実でありますが、日本は世界でも珍しい地震が頻発する地域です。

また、島国であるがゆえに海に面している場所も多く、近海で大規模地震が発生した場合は津波などの影響を受ける可能性は捨てきれません。

さらに追い打ちをかけるようですが、2011年に起きた福島第一原発の事故以来、原子力発電への疑いは向けられたままです。

いくら海外で導入実績があっても、国民から支持を得るには多大な時間が必要でしょう。

そのため、小型原子炉の新設は行われないと予想します。

まとめ

グローバルトレンドで脱炭素・カーボンニュートラルの動きが加速しており、小型原子炉(SMR)は積極的に開発が行われています。

小型原子炉は高い安全性を持ちながら、コスト圧縮を実現することが出来るため開発競争は今後ますます熱を帯びていくことでしょう。

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