テーマ銘柄

【SDGs】ブルーカーボンのビジネスを展開する企業と関連銘柄

ブルーカーボン

最近は観測史上一番短い梅雨の季節となり、6月時点で早くも猛暑日が続いています。

そのため、都心部では想定以上に電力が消費されており、おそらく今年も節電に関する呼びかけが連日行われることになるでしょう。

これだけ猛暑日が続くと「地球温暖化」について真剣に考えようという動きが加速すると思われます。

そこで今回は地球温暖化対策の新しい考え方である『ブルーカーボン』を紹介します。

ブルーカーボンは海洋生物を活用し、大気中から海中へ吸収された二酸化炭素由来の炭素を意味します。

これは陸上生物から吸収される二酸化炭素由来の炭素「グリーンカーボン」とならんで地球温暖化対策の考え方として注目が集まっています。

この記事では、ブルーカーボンのビジネス例と関連企業を紹介します。

ブルーカーボンとはどんなもの?

まずはブルーカーボンの概要を見ていきましょう。

【概要】ブルーカーボンは海洋生態系の炭素

ブルーカーボンは国連環境計画(UNEP)によって命名された「藻場・浅場等の海洋生態系に取り込まれた炭素」のことです。

国連環境計画(UNEP)に命名されたのは、2009年のことでそれまでは、海洋・陸上を問わず、生物により吸収・貯留される炭素はすべて「グリーンカーボン」と呼ばれていました。

しかし、『Blue Carbon』の発行以降、陸域生物により吸収・貯留される炭素を呼び分けするようになりました。

✅陸上生物による『グリーンカーボン

✅海洋生物による『ブルーカーボン

【比較】グリーンカーボンとの違いは?

ブルーカーボンとグリーンカーボンの違いは、吸収される場所によるものです。

森林などが陸上にあり、光合成などの目的で吸収するのが『グリーンカーボン』

海洋で藻などの光合成が目的で吸収されることを『ブルーカーボン』となります。

【課題】海洋生態系の保全が必要

近年は沿岸浅海域の海洋生態系が急速に消失しています。

そのため、海洋生態系の保全が重要な課題として注目を集めています。

数的根拠としては年平均で約2%~7%の割合で減少を続けており、この減少率は半世紀前比較でおよそ7倍まで拡大していると言われています。

また、今後対策を講じない場合は『ブルーカーボン』生態系が今後20年で失われるとされているのです。

【起源】ブルーカーボンの吸収源はどこから?

ブルーカーボンは主にマングローブや海藻藻などの生態が吸収源です。

これらは比較的浅瀬な地域で確認することが出来る為、大まかに沿岸浅瀬域を指すこともあります。

バンドッグ
バンドッグ
浅瀬地域ながらも貯蔵炭素量は海洋全体の年間貯蔵のおよそ8割を占めているぞ。まさにブルーカーボンは寡占市場だ。

つまり、ブルーカーボンは私たちにとって大切な資源で失うわけにはいきません。



ブルーカーボン生態系の種類と抱える課題

続いては、ブルーカーボンに通ずる生態系の種類を見ていきましょう。

ブルーカーボン生態系の種類は大分類で3つに分けられます。

①マングローブ林

マングローブ林は熱帯や亜熱帯の沿岸域で確認することが出来る樹林です。

マングローブは東南アジアのイメージが強いですが、日本では沖縄や鹿児島でも確認することができます。

②塩性湿地

塩性湿地は高濃度塩分の海水が流れてくる湿地です。

この湿地は二酸化炭素の吸収に一役買っています。

③海草藻場

海草藻場は静かな内海の砂底に生息しています。

日本で広く知られているのは「アマモ」という種類のものですが、北海道から九州まで広く分布しています。

④海藻藻場

海藻藻場は地盤がしっかりした地域で胞子によって繁殖しています。

しかしながら、海藻類には炭素貯蔵機能がありません。



ブルーカーボンが抱える課題点

これまで紹介したブルーカーボン生態系の中でも顕著なのが、マングローブ林の減少ではないでしょうか。

ご存知の方も多いかと思いますが、マングローブ林は世界中で減少傾向にあります。

統計的に見れば、過去50年で世界のマングローブ林はおよそ50%失われており、現在も年間で2%ずつ減少が続いているような状況です。

その原因は森林伐採や沿岸部の都市開発によるもので、森林が破壊されると生態系が貯蔵していた二酸化炭素が放出されてしまいます。

しかも、マングローブ林が失われることによる排出量は、世界の森林破壊による排出量の10%にも昇ると言われているのです。

そのため、海洋環境の保全は世界が目指すべき目下の課題と言えます。

原文(出典):ブルーカーボン・イニシアティブ

蓄電池・モーター関連企業(NEDO)
【NEDO】グリーン成長戦略で期待される蓄電池・モーター関連企業まとめ日本の自動車産業が100年に1度の変革期を迎えています。 「2050年カーボンニュートラル宣言」の実現に向けて、世界トレンドがEV(電...

ブルーカーボンに関する日本の取り組み

ブルーカーボン生態系に対すると取り組みは国内でも進んでいます。

今回は、実際にどんな取り組みを行っているのか見ていきましょう。

カーボンオフセットの発行

日本の取り組みとして紹介したいのが、カーボンオフセットです。

カーボンオフセットは、二酸化炭素排出量の相殺を目指すもので、申請者の二酸化炭素救出量を企業がクレジット(炭素排出権)購入することができます。

これらは賛否両論あり、環境に配慮した社会貢献(CSR)だと認識されている反面、環境保全にはあまり繋がっていないという指摘されることもあります。

バンビーノ
バンビーノ
どうしてクレジット購入が環境保全につながらないの?
バンドッグ
バンドッグ
理由は頑張っても削減できない二酸化炭素の排出を資本力で誤魔化しできてしまうからだ。資本力のある企業は削減目標をお金で買うことが出来てしまうだろ?
バンビーノ
バンビーノ
なるほど。そうなれば、川下企業により圧力が掛かりそうだね…

Jブルークレジットの発行と購入企業

Jブルークレジット(出典:JBE 公式サイトより抜粋)

ブルーカーボンにつながる形では、JBE(ジャパンエコノミー技術研究組合)が『Jブルークレジット』を発行し、毎年ブル—カーボン活用プロジェクトを対象にクレジット(炭素排出権)の発行・販売を行っています。

具体的には申請者(ブルーカーボン生態系関係者)の二酸化炭素吸収量を企業が買取、買い取った企業の二酸化炭素排出量と相殺させることが可能です。

既存の購入者にはセブンイレブン、住友商事、東京ガス、商船三井、丸紅等が名を連ねており、環境保全へ前向きな姿勢を見せています。

ブルーカーボン関連企業

最後にブルーカーボン関連企業について書かせていただきます。

電源開発(Jパワー)<9513>

電源開発株式会社(9513)は電力各社の卸売業を行っており、ブルーカーボンへ前向きな姿勢を示している企業です。

愛称「Jパワー」で親しまれる同社は自社の事業所近海で藻を育成し、クレジット(炭素排出権)創出を目指しています。

日本経済新聞社(日経新聞)によれば、二酸化炭素吸収量は15.6トン以上のクレジット創出となり、単独企業の取り組みでは国内最大級です。

まさに、これからの筆頭候補かも知れません。

商船三井<9104>

株式会社商船三井(9104)は横浜市が手掛ける藻由来のクレジットを購入し、環境保全へ前向きに取り組んでいます。

同グループはネット・ゼロエミッション(理念・手段)を掲げ、2050年までにグループ全体で目標達成する計画です。

それに基づく形で環境政策を公表していますので、気になる方はチェックしてみると面白いかもしれません。

東亜建設工業<1885>

東亜建設工業株式会社(1885)は、海の工事で活躍する作業船を多数所有しています。

本業は海上土木を行っており、民間建設など幅広いのが特徴です。

同社はブルーカーボンを利用し炭素社会の実現が求められる中、干潟や浅場などの計画策定から施工・維持管理に至るまでを提供しています。

商船三井と同じく横浜や山口県でブルーカーボンのクレジット(炭素排出権)を獲得しており、日本企業の手本となるべき存在となるかも知れませんね。

まとめ

本記事はグリーン投資の中でもより社会課題が迫っている「ブルーカーボン」に焦点を絞って書かせていただきました。

本日の内容を簡潔に纏めると以下の通りです。

本日のまとめ

・藻場・浅場等の海洋生態系が生む炭素推進
・このままでは20年後にブルーカーボン生態系が失われる
・日本はカーボンオフセット政策で環境推進
・大手企業でクレジット購入が進むが、根本解決には至っていない

最後までご覧いただきましてありがとうございます。

サラリーマン投資家部門でランキング上位を狙っています。
もし良ければ、応援をお願いします!

にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ
にほんブログ村

メタバース
日本の大手企業が"メタバース"に投資をする理由と今後の見通しアメリカの大手企業Facebookが社名を「Meta(メタ)」に変更したことで、メタバースへの関心が高まっています。 日本では任天...
ABOUT ME
バンビーノ
大学生時代に投資を始めた個人投資家。株式投資を中心とした「銘柄」「資産運用」に関する情報を発信します。お仕事のお問合せまたはTwitter DMよりお願い致します。




COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA